ベーシスト・濱瀬元彦氏の クノーレン・フレットレスベースに、LightTouch激鳴りモディファイを施しました。
[tip]<濱瀬 元彦 氏 コメント>
どうも濱瀬元彦と申します。
木寺さんのことは清水玲さんからお噂をよく耳にしていました。また、木寺さんのつくられた弦は昨年から愛用しており、非常に気に入っています。こうした、芯が柔らかい感触を持ったエレクトリック・ベースの弦というのはあるようでないんです。コントラバスのほうでは、コルレリという弦がありますが、それと似ていますね。
昨年の暮れに木寺さんは、東京のスタジオ・ラングをわざわざ訪ねてくださいました。私は初めてお会いしたんですが、いろんな楽しいお話を聞かせていただき、とても良い時間を過ごすことがきました。その節は、どうも、ありがとうございました。
木寺さんにはご自分で培われた技術をお持ちの方にだけある自信と明快さ、率直さがあります。そんな人柄に惹かれて、私も激鳴りセッティングを御願いすることにしました。実際に調整を施していただいたのは、この新年そうそうです。新品の弦を張って送り返していただいたんですが、新しい弦というのに私は馴染まなくて弦を張ってから2,3ヶ月経過してから判断をしたかったため、リポートが遅くなりました。
さて、リポートですが、結論から言って2点、明らかに効果がありました。立ち上がりのスピードが非常に速くなったこととサスティーンが増した点です。
第一、音の立ち上がりが速くなった点。
小さな音でピックしたときにもより、強くピックしたときのようなエンベロープが得られるようになりました。これは、いろんな波及効果があり、弱音演奏が従来よりも意味のあるものになります。音の立ち上がりのスピードがあれば、弱音演奏時にもリズム的に端正な造形が可能なるだけでなく、ピッキング(ピチカート)のミディアム・レベルを下げることができるため、ダイナミック・レンジの大きな演奏スタイルを作ることが可能になります。弱音演奏は最も高度な技術が必要ですが、立ち上がり速度が充分であれば、修得の労力もずいぶんと削減できるでしょう。
第二、サスティーンが増した点。言うまでもないことですが、撥弦楽器はサスティーンが長ければ長いほどいいわけです。そのために、あらゆる事を楽器作りの方は試みています。私の楽器はフレットレス・ベース(クノーレン6弦)でよく鳴っていたのですが、木寺さんのセッティングを施した後の鳴り方はすごいです。ロー・ポジションの重音奏は、よく鳴るウッド・ベースがグワーンと鳴ったときのような木の響きが出ます。素晴らしい!
おそらく立ち上がりの速さと、サスティーンは、極めて深い関係にあることで、不可分な要素なのでしょうね。
実は楽器が調整後返却された状態では、弦高が極限まで下げられていたため、少しづつ弦高を上げていきました。弦高を上げていくというのは案外、抵抗があるもので、3ヶ月かけて、12フレット付近で低音弦で指板と弦でつくる隙間を2ミリくらい高音弦で1.5ミリくらいまでもっていきました。私の楽器の場合、それが臨界点らしく、目が覚めたように鳴るようになりました。
たぶん、私の場合、以前もこれくらいに弦高をセットしていたんだと思います。だから、これはこれから「激鳴りセッティング」をやってみようと思う人へのアドバイスですが、自分の調整に出す前の弦高を物差しで計っておくといいでしょうね。返却されてくるときはそれ以上下げられないギリギリの低い弦高で帰ってきますから、元の弦高に戻してみてしてみて下さい。きっと効果がよく把握できるはずです。[/tip]