LightTouch激鳴り ガットギター。第一弾!


 色々な弦楽器を次々とLightTouch激鳴りしていますが、手工ガットギターもバッチリ モディファイ。 オーナー様より、コメントを頂きましたのでどうぞ〜。

  <コメント>

小森曠作 手工ギター LightTouch激鳴り!

 
世界的に高名なギター製作家・河野賢氏に師事した後独立され、現在は北海道の地で製作活動に従事されている小森曠氏の手による手工ギターです。1992年当時、某クラシックギター専門店で30数万円で購入したものです。

 当時はクラシックの楽曲を含むインストメンタルを演奏したのですが、徐々にボサノバに傾倒していったため、クラシックギターとしての弾き心地に満足できず、複雑なコードも楽にこなせる、より快適な弾き心地を求めて試行錯誤していました。そこで、T.S.Cさんの「ライトタッチ激鳴り」を知り、思い切って調整をお願いしました。その際、私が重視したポイントは以下の3点でした。

 1)テンションコードの響きを生かすため、各弦のバランスを整えたい
 2)複雑なコードも楽に押さえられるように、なるべく弦高を低くしたい
 3)以上のことを実現しつつ、ある程度弦のテンションは残してたい

 どこまで私の要望がかなえられるのか、半信半疑でしたが、調整されたギターを弾いた感想は、私の疑念を払拭するどころか、予想を超え驚きが連続する素晴らしいものでした。

 まず、第一に驚いたのは、そのタッチの柔らかさでした。お預けした時と同じ(種類という意味ではなく、文字通りそのまま同じもの)弦が張ってあるにもかかわらず、弦を押さえる左指の感触がとても軽いのです。弦高も低くはなっているのですが、弦が指に吸い付くようなというか、無理に弦を押さえつけなくても弦がフレットと接してくれるというか、非常に軽いタッチで弦を押さえることができるようになっていました。結果、ストレッチを含む複雑なコートも、左手指に大きな負担をかけずに押さえることができるようになりました。しかも、弦のテンション感はきちんと残っているので、頼りない感じがまったくなく、音程がシャープするような問題も感じられませんでした。

 次に驚いたのは、そんなに軽く弦を押さえることができるにもかかわらず、軽く弾くだけで音がよく鳴ることです。クラシックギターでしっかりと張りのある音を出すためには、ギタリストは皆、右手の強いタッチを習得するために時間をかけるものですが、こんなに軽く弾いても音が出るならば、無駄な努力をする必要がなくなるのではないでしょうか。音の鳴り方は、楽器の反応が良くなったというか、弦を弾いた瞬間にその信号がボディに伝わり、サウンドホールから俊敏に発せられる、まさに高級なスピーカーで音楽を聴く時のようなレスポンスの良さを感じさせてくれるものです。

 さらに、低い弦高、柔らかい弦のタッチでありながらも、6本の弦の音がきちんと聴きとれることも驚きです。まるでピアノの鍵盤で和音を押さえたように、6本の弦の音がどれひとつ出過ぎることなく、引っ込むことなく、きちんと6つの音としてバランス良く聞こえるのです。クラシックギターではどうしても、ナイロン弦である1〜3弦と金属の巻線である4〜6弦の音の鳴り方には差があり、特に、3弦はその性質上、音が弱くなりがちなのですが、ここまで6本の弦の音がバランス良く聞こえるのは見事というよりありません。

 また、非常に嬉しかったのは、全体的に音がクリアになったことです。昨年、トップ(表板)のみセラックで塗装の塗り直しをしていたにもかかわらず、音抜けが良くなり、低音も豊かになったような感じがします。普通、塗装を塗り直すとどんなに細心の注意を払って塗装しても、「1年ぐらい音がこもる」ことが多いのですが、塗り替える前よりもかえって音がクリアに、しかも低音が豊かになったように感じます。これは、塗装を塗り替えたことのデメリットより も、「ライトタッチ激鳴り」を施すことのメリットの方が勝った、ということでしょうか。

 あるギター製作家によると、生楽器は10数年も弾き込むことで、経年変化により木材繊維中のセルロースが結晶化して行き、よく鳴るようになると言います。経年変化により細胞中の充填物質が脆弱になるとともに、繊維質が互いに強固に結びつくようになり、その結果材が弦の振動に反応しやすくなるのだそうですが、T.S.Cさんの「ライトタッチ激鳴り」は、そのような経年変化を待つまでもありません。自分の楽器が本来持っている「最大限の実力」を発揮して、よく鳴る楽器になるのですから。

 もちろん、「音」を決定づける要素は様々で、また、演奏家自身の音の好みも様々ですから、「よく鳴る」楽器に対するイメージはひとつではないかも知れません。しかし、少なくともT.S.Cさんの「ライトタッチ激鳴り」は、様々な感覚、感性、イメージ、思い込みなどを寄せ付けない次元に存在する、「音へのこだわり」を感じさせてくれるカスタマイズ&調整であることは間違いありません。

 T.S.Cさんによってカスタマイズ&調整を施された愛器が、今後、経年変化を経てどのような音に成長していくのか今から楽しみです。