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ーー 『激鳴り』を依頼するまでの経緯 ーー
私は14年程前からSTEINBERGER GL4Tをメインギターとして使用しています。
使い始めた当時から困っていたのが、GKの取り付けに関してでした。
ボディトップが曲面なのでネジ固定以外方法はないのですが、カーボンにネジ穴を空けるのは素人に出来る事ではありません。岩の表面が欠ける時の様に、パラパラと細かく割れてしまいます。
普通の楽器屋さんに頼んでも引き受けてもらえませんでしたし、お店によっては法外な加工料を提示されたりで、人に頼むのはあきらめていました。
仕方なくGKの両端だけを両面テープで止めたりしていましたが、簡単に外れてしまう不便さに加え、小さなボディにはGKコントローラ部を装着する場所が無いのです。
ストラップのボディ寄りの位置に固定したり、ボディ裏に貼付けたり、苦労していましたが、三年程前にTSCを知り、GK内蔵加工をお願いしました。
これには最高に満足しています。
その後、もう一本予備のSTEINBERGER
GL2Tを入手したので、これには最新のGK400内蔵加工をお願いする為にお店に伺ったのが2003年の11月、この日のもう一つの目的は、ネットで話題になっていた『激鳴り』が施されたギターを体験してみる事でした。
ーー お店で『激鳴り』を体験してみて ーー
=超低弦高=
手渡されたギターに触れた時、最初に驚いたのは驚異的に低い弦高でした。
私はアラン・ホールズワース風スタイルの速弾きを得意としているので、弦高はかなり低くしていますが、フレットに対しここまで均等に低いセッティングを見たのは始めてです。
弾いてみると予想した通り非常に弾きやすく、この状態こそ私が30年求め続けた理想のコンディションであると思いました。
普通は指版上のどこかで足を(指を)引っ張られてスピードダウンするものですが、そういう箇所が全くありません。
これだけでも十分満足でしたが、本当に驚いたのは速弾きを止めて一つの音を持続させた時でした。
=驚異的なサスティン=
何故こんなにサスティンがあるのか?
さらに左手指でビブラートをかけると、弦振動が湧いて出てきます。
だから『激鳴り』というネーミングがついたのかと納得しました。
実を言うと私は「楽器が良く鳴る」という様な抽象的な表現が嫌いです。
「鳴る」の定義が人によって区々だからですが、この場合「鳴る」=「弦がよく振動し、それが長く持続する事」と定義するならば、これ程「鳴る」ギターは初めてでした。
ロバートフリップをご存知の方、サスティナーを使ったあの奏法、と言えばお解り頂けるでしょうか・・・あの奏法がサスティナーなしで可能です。
ーー STEINBERGERに『激鳴り』を施してみて ーー
お店で体験してから、迷う事無く2本の STEINBERGER GL4T と GL2T どちらにも『激鳴り』を施してもらいました。
特殊な材質、構造を持つSTEINBERGERには、激鳴りを施すのにやや手間がかかるそうですが、豊かなサスティンも低い弦高による弾きやすさも、期待通りに仕上がっています。
ただ、殆ど同じギター、同じ張り方の同じ弦であるにも関わらず、やはり違いは出るようで、後で依頼したGL2Tの方が感触が僅かに柔らかく、ピッキングによるニュアンスの変化も出しやすく感じます。
=軽いタッチがもたらす恩恵=
低弦高によるタッチの軽さと、鳴りの良さを併せ持つという事は、タッピングに最適という事でもあります。
私はVGとGRをフルに活用するプレイスタイルです。(ノーマルピックアップは一切使用しません)
5-6弦はGR+VGのMIXで、左手だけで演奏。
GRでベース音色、VGのCOSMギターはPitchShiftで5度を足した後、COSMアンプで歪み(つまり弦一本でPowerChord可能)
1-4弦はCOSMギター音はオフ。
右手のタッピングでGRシンセパッドの白玉バッキング。
というような奏法を頻繁に行います。
どの弦でも、どこのフレットでも、タッピングしただけで豊かな弦振動が得られるという事は、単音よりも和音タッピングの時にこそ、より重要です。
叩き方が足りなくて(タッピングしそこなって)和音がきれいに鳴らないという事がなくなります。
弦高の話で、速弾きがしやすいという事を書きましたが、それは言うまでもなくタッチが非常に軽いからです。
私は0.09のゲージでなければ弾けない非力な指ですが、お店で試奏したギターが0.10のゲージである事がすぐには判りませんでした。
チョーキングをした瞬間、強い張力を感じてやっと気付いたのです。
激鳴りチューンを施したアコースティックギターでも、タッチの軽さとサスティンは同様でした。
実は私はアコギを持っていません。『弦が固く、弦高が高くて弾きにくく、ハイポジションは使い物にならないつまらない楽器』だと思っていたからですが、この日から認識を改めました。
ーー これはテクノロジーなのです ーー
TSC 木寺氏の話の中で特に感動した事があります。
楽器製作の世界には、優れた調整法、良いコンディション、鳴り方、といったものを、奇跡や偶然や魔法の様に言う人がいますが、木寺氏はこう言いました。
「奇跡や偶然なんかではなく、これは単にテクノロジーなのです」
技術の詳細は非公開ですが、『激鳴り』というのは、弦の振動を最大限に生かす為の調整法であり、それはちゃんと理論に基づいて構築されたテクノロジーなのです。
私はTSCを全面的に信頼していますが、それは技術力だけでなく、抽象的で曖昧な事を言わない、こういう点にもよります。
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作曲家、シンセサイザープログラマー、ギタリスト
JSPA(日本シンセサイザープログラマー協会)会員
成安造形大学 非常勤講師(デジタル音声加工編集技術)
アン・ミュージックスクール京都校 講師
HardRockBand 『EBONY EYES』 ギタリスト
加藤雅春
http://www.asahi-net.or.jp/~br2m-ktu/
2004.1.11
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